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【本当に必要なワクチンとは?】Vol.3

獣医師プロフィール sensei 名前:宮本三郎 出身大学:麻布大学 勤務先:安田獣医科医院 趣味:ペットショップめぐりと独り旅行。
みなさん、こんにちは。 勤務獣医師の宮本三郎です。 今回は、前回に引き続きワクチンに関するお話です。 すこ~し長いですが、お付き合いください。 世界小動物獣医師会(WSAVA)では、ワクチンガイドライングループ(VGG)を組織し、 イヌとネコにおいて推奨するワクチンの種類と、接種により起こる可能性のある問題について 公表しています。 セミナールーム (画像は、今年の1月にフロリダで行われた、ノースアメリカン獣医年次大会のものです。抗体チェックについての講演中です) それによると、ワクチンをコアワクチン、ノンコアワクチン、非推奨ワクチンに分けて考えており、 コアワクチンは、世界中で認められる重度の致死的な伝染性疾患から動物を守ります。 犬のコアワクチンは、犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、 犬パルボウイルスの『3種』を含んでいます。 ネコのコアワクチンには、ヘルペスウイルス、カリシウイルス、ネコパルボウイルスが含まれています。 イヌのノンコアワクチンには、ケンネルコフ(ワンちゃんの風邪のようなもの)にまとめられるウイルスが 含まれていて、ライフスタイルによって、特定の病原体に感染リスクのある動物には必要なもの、と位置づけています。 その中でVGGは、成犬には毎年『3種』の抗体チェックを推奨しています。 現在日本ではイヌにおいて1種~最大11種の混合ワクチンが流通していますが、VGGに沿って考えると、 まず考えるべきは上記の『 3種 』ということになります。 こういった話をすると、そのほかのワクチンは必要ないのか、という疑問が必ず生じてきます。 そこで、重篤化しやすい『 3種 』の病気ではなくて、ワンちゃん、ネコちゃんの風邪様症状について 考えてみましょう。 pics1256 まず、みなさんは自分に起きる風邪症状(くしゃみ、鼻水、咳 etc)に、どのような予防または対処をしていますか? ①休息と睡眠、栄養補給 ②病院へ行く ③市販の薬を使う ④ワクチンを接種する さていかがでしょう? 通常は①~③の対応となるはずです。 一般的な風邪のために、ワクチンを接種している人はいないはずです。 ただし、ヒトのインフルエンザについては、④ワクチン接種という選択肢も出てきます。 寝れば治る程度の風邪とは大きく異なり、その感染力や症状悪化の度合いが強く、加えて毎年の流行が必然となっているからです。 では、ワンちゃんネコちゃんに起こりうる風邪様症状について、どうしたらよいのか。 元気食欲不振、くしゃみ、鼻水、咳 などなど。 一緒に生活している飼い主さんなら見逃すことはないと思います。 そのときの対応としては、そう、上記①②となります。 このような考え方はイヌネコの健康を守るうえで大きくズレてはいないものです。 こうしたことから、ノンコアワクチン接種についてはVGGの推奨通り、感染リスクのある地域(流行地域など)でのみ 行われるべきものと思われます。 また、VGGは愛犬愛猫の抗体チェックおよび日常的な観察に加えて、年一回の健康チェックも推奨しています。 ここで重要なのは、犬猫のワクチンが悪いというのではなく、接種のやり方に問題があるということです。VGGは、必要以上の頻回なワクチン接種は副反応(副作用)を増強させるとまで明言しています。ノンコアワクチンで予防できるウイルス疾患は、主に風邪様症状を引き起こしますので、日常的な注意で十分対応可能だと思われます。日本では犬猫において、ある感染症が特定地域で流行しているかどうかを知るすべは今のところありません。Cicada Survey (※下記)によって流行地域の検索が可能になれば、ノンコアワクチン必要性の有無がよりはっきりしてくると思われます。 今後に期待したいところです。 (※Cicada Survey :犬猫の診療に関わる全国の獣医師が、診断した感染症について報告し、その集計がインターネット上で確認できるシステム) 最後になりますが、WSAVA VGGは好き勝手に世界標準を欧米からアジアに押し付けているのではありません。2012年と2013年にかけてアジア主要都市を歴訪し現場を直接調査しています。そのまとめがWSAVA ホームページ上Vaccination Guidelines に詳しく掲載されますので、興味を持たれた方はご参照ください。 前回に引き続き、大事だけども少し難しいお話となりました。 実はまだ十分ではないのですが、ひと段落とさせていただき、次回は話題を変えておおくりします。 お楽しみに。

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