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vol.9【大切なペットと生き別れしないために】

獣医師プロフィール sensei 名前:宮本三郎 出身大学:麻布大学 勤務先:安田獣医科医院 趣味:ペットショップめぐりと独り旅行。           こんにちは。勤務獣医師の宮本三郎です 愛護動物が受ける被害には、人為的なものもありますが予期しない自然災害も含まれます。個人的な災害の時には預け先を探すことはそう難しくないのですが、大勢の人たちが被害をこうむる大規模災害のとき、動物たちはどのような扱いをうけることになるのでしょうか。 今回は、自分のペットについてどういう事態に陥るのか、また何を備えておくかについてお話しします。 もう2週間以上が経ちますが、熊本の地震被害については連日報道されていて、ある動物病院では動物を含めた200人近くの人が収容されていたと言います。そうした報道に出てこない動物病院でも可能な限りの対応がされていることと思われます。ただし、実際にペットとともに受け入れられる数は限られていますので、個々人で災害に備えておくことが必要です。 《災害時の狂犬病予防法》 犬との生活を始めるとき、私たちにはいくつかの義務が生じます。それらは狂犬病予防法に基づいた狂犬病ワクチンの接種やヒトを咬んだ犬の隔離および診察の義務などですが、大震災時にはこうした法律は機能していなかったといいます。 以下『』内は東日本大震災を経験した福島の開業獣医師の話です。 『避難した人たちはすぐに戻れると思い、ペットを自宅において避難した人たちが大勢いました。行政からはペットに関しての指示は全くなく、避難先に連れて行くこともできず、生きながらえてほしいという思いから自宅に戻り犬を逃がす人も大勢いました。法律上、基本的に犬の放し飼いは禁止であり、近くに飼い主が見当たらない場合には、捕獲や収容といった対応がとられます。福島では動物担当部署が放射線測定に駆り出されて行政の機能としては麻痺していました。放された犬や猫は野良化したり、知らない場所へ連れていかれたりしました。』 現在の日本では狂犬病は存在していませんが、法律に基づいた対応としては頼りないものがあります。災害時には予防法や愛護法に基づく平常通りの対応を求めても難しいことが想像できますので、飼い主は自分とペットを守るための準備をしておくことが大切です。 《必要なもの》 食料やペットシーツ、簡易ゲージなど、災害時に必要とされるものは ペットによって様々です。それについては他情報があふれていますので、飼い主さんそれぞれで考えていただければよいと思います。 なかでも大事なことは、万が一離ればなれになっても帰ってこられるよう備えておくことです。基本的な考えは同じですが、以下3つの備えについてお話します。 【①飼い犬を役所に登録し、鑑札もしくは狂犬病ワクチン注射済表の常時装着】 法律上必要ですが、不十分です。行政に登録された情報が災害時すぐに取り出せるとは限らないので、【②ネームプレート(住所・電話番号まであるとよい)の装着】もしておくとよいでしょう。かわいいグッズや、違和感なく見えるものもあるので普段から身に着けておくことをおすすめします。 また、【③マイクロチップの挿入】が推奨されています。マイクロチップは背中側の皮膚の下に注射で埋め込むものです。ワクチン注射をするような感覚で行うことができます。ただし災害時の情報共有が必ずしもスムーズにできるかというと疑問が残ります。震災直後で復旧が進む前の段階では、ネームプレートが必要でしょう。 以上3点ですが、怖いのは飼い主の元に戻す意思のない方が連れて行ってしまう可能性です。震災直後は余裕がなく難しいと思いますが、復旧が進んだ場合連れている動物の(本当の)飼い主確認も大事かと思います。偏見ですが、飼い主として怪しい(相当な偏見!)人物についてはマイクロチップでの確認が重要な情報となりえます。 どこで何が役に立つかは分かりませんので、最低限として上記3点いずれも済ませておくことができれば安心です。震災後のペットがどこに保護されたのか、誰のペットかわからないようなパニックは避けられますし、いまだに飼い主の元に戻れない多くの動物を増やさないためにもお願いします。 追記【④常用薬については、その内容をメモなどに記録しておく】動物病院で処方されるお薬は動物薬だけでなく、多くの人薬も使われており、さらにジェネリック医薬品も扱われているため病名だけでは薬剤を特定することは困難です。商品名ではなく、成分名と投薬量は動物病院に確認しておいてください。

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